壱岐にまつわる話

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巨人デイが残した大穴伝説

壱岐には鬼伝説が多く残る。そのひとつが鬼の足跡だ。その昔、デイと言う大鬼が鯨をすくおうと足を踏ん張った際にできたのだという。

 

右の足跡は壱岐西部の牧崎公園、左の足跡は壱岐北部の辰の島にある。牧崎公園の足跡は高さ30M、周囲110Mあり日本百名洞にも選出されている。

 

さてこのデイという大鬼、壱岐に伝わる民話「デイの話」に「大むかし、デイという大男がいて、玄界灘に泳いでいるクジラを、ふんどしの前だれで、一度に三度もすくった」とだけある。

 

デイという名前を聞いてまずピンとくるのが、日本全国で知られる巨人伝説「デイダラボッチ(ダイダラボッチ)」だろう。デイダラボッチは日本各地に伝承のある巨人伝説だ。この大男は時に妖怪だったり、神様だったり、はたまた大鬼だったりする。

 

またデイダラボッチが残したとされる痕跡は各地にあり、琵琶湖もそのひとつだと言われている。話の大抵が「踏ん張ったり」「腰を掛けたり」「泣いたり」することで、地形が生まれたといった内容である。デイダラボッチの逸話は北関東や中部地方に偏っているのも特徴的だ。

 

デイダラボッチは地域により「ダイラボウ」「デイランボウ」「ダイランボウ」など様々な呼び名で親しまれており、その多くは一寸法師の反対語にあたる「大太郎法師(だいたろうぼうし)」に由来する。

 

デイダラボッチは国を作った神々に対する巨人信仰が生み出したとも言われており、時に人々を助け、時に山や湖を建造する。

 

壱岐古事記の国生み伝説では5番目に神様がつくったと言われており、もともと神道の信仰があつい。そうした信仰心がデイを生み出すきっかけになったのかもしれない。

 

また、壱岐は元より交易が盛んで全国各地から流れ者が多く入ってきた文化を持つ。壱岐に伝わる説話の多くは、陰陽師の末裔の唱門師(しょうもじ)と呼ばれる呪術的な芸能者が広めたという説もある。

 

壱岐のデイも元は「デイダラボッチ」ではないか?と思いを馳せてみるのも良いかもしれない。